4月5日~6月30日の3か月間は二紀会準会員の馬場洋先生の展覧会を開催しました。先生の作品は14年程前に初めて拝見し、それ以来ずっと作品を見てきました。
ある日、先生からお手紙がきました。自らの作品を「ある意味独り言のようだ」「モチーフや構図が難解である」という内容でした。展覧会をご覧になられたお客様の中にも、「画力は素晴らしいが難しいですね」というお話もありました。しかし、作家の心に映る風景を作品にするところに、先生の魅力があるのではないかと思います。
会期中、美術館のお隣が小学校ということで、2年生以上の児童を対象に鑑賞授業を行い、478名の子どもが来館しました。その前に、鑑賞授業をより充実させるために、アートコミュニケータの指導で、小学校の先生を対象とした研修会を実施しました。
研修の結果、子どもたちの素直な感想がもっと引き出せるようになり、その感想には何度も驚かされました。二紀会に出品した「揺れる蒼い夢」という作品を見て、小学5年生の男の子から「過去と現代の時間の間(はざま)を感じました」という感想が。また、作品からストーリーを創る子どももいました。もしかしたら、馬場先生の内心を描いた作品には、子どもたちの想像の世界を拡げる力があったのかもしれません。子どものときの作品との出会いは、のちの人生に何か影響を与えるのではないかと思います。
中学生を対象としたギャラリートークでも、たくさんの質問や先生を囲んでのお話しをしている光景が見られ、とても嬉しく感じました。
馬場先生のお人柄と、一筆一筆が人生の痕跡であると考えひたすら画面に向き合う姿勢は多くの方々に感銘を与えました。週末ごとに来館され、絵画や絵に取り組む考えについていろいろお話できたことはこの上ない時間となりました。
馬場先生の作品はこれからも見つづけ、応援していきたいと思います。