2025年4月5日から6月28日まで、「田中里奈木版画展~イマ、版と共に…~を開催しました。田中先生は東光会、日展の会員として数々の賞を受賞し、今注目されている木版画家です。
先生の作品を初めて拝見したとき、その大きなサイズと構図に驚かされ、すぐに所蔵することにしました。その後、東光会展、日展で作品を拝見するようになり、100号の大作や絵の力強さに魅力を感じ、版画のイメージを大きく変える先生の展覧会を当館で開催したいと思いました。
展覧会開催に際し、コンセプトを「版画の枠を超え、驚きと感動を提案する」ということにしました。具体的にどうするかを考える中で、思い切って展示室の壁の色を変えること、作品は額装しないことの2点を決めました。
壁の色は赤になり最初は違和感を感じましたが、展示すると作品が際立ち、ご覧になった多くの方から「面白い展示」とお褒めの言葉をいただきました。また額装しないことで、ご覧になった方の思いが額の中にとどまることなく広がっていくように感じました。先生の大作を前期・後期に分け24点展示しましたが、木版画の作品というより現代アートのようだというお客様もいらっしゃいました。
さまざまなチャレンジが、版画の新たな魅力を引き出せたのではないかと思います。
本展覧会は、チバテレビの展覧会紹介、読売新聞の夕刊CityLifeに4週間連続掲載、東京新聞の文化欄での紹介など、多くのメディアにも取り上げられました。田中先生と木版画が多くの人に知られる機会になったことは大変嬉しいことでした。
最後に、全国にあふれるインバウンドのお客様の一人がとうとう当館にも訪ねてきました。アメリカのコロラド州からいらっしゃった女性の画学生でした。スマートフォンの翻訳機能を使用してお話をしたのですが、田中先生の作品に大変感動したとのことでしたので、ぜひアメリカのお友達にも知らせてくださいとお願いしました。日本にとどまらず世界へ作品の魅力が伝わっていったら素晴らしいことだと思います。
期間中、版画のワークショップや東光会の写生会などのイベントも開催され、田中先生のお力添えをいただきました。田中先生のこれからのご活躍を楽しみにしています。