2024年1月24日水曜日

【館長ブログ】木原和敏展 各地からファンが集う

 木原和敏先生に初めてお会いしたのが2006年でした。その後、個展や白日会展、日展で作品を拝見したり、先生のお話しを伺ったりする機会がありました。私には美術館を開設した当初から先生の展覧会を開催したいという考えがあり、7年目にしてようやく開催の運びとなりました。

人物画のみの展覧会は当館にとって初めての試みでした。風景画とは異なり、お客様が作品から受ける印象がどうなのかと気になる点がありましたが、木原先生が描く女性の美しさや優しさ、何気ない仕草が、観る人に穏やかな心持ちをもたらしてくれた印象を持ちました。

絵を描いている方たちからは、木原先生の筆致と細部の技巧に驚きの声があがり、何度も長い時間をかけて鑑賞していらっしゃる様子も見られました。

ちょうど日展の時期と重なったこともあり、全国に巡回するまでの間、出品作品「空模様」を当館で展示することができました。日展の会場では見られなかった方にも鑑賞していただくことができ、大変嬉しく思いました。

「空模様」2023年

木原先生のファンの方が、遠くは鹿児島など全国各地からご来館されました。そうした来館者に対し、とても親切に親しくお話しされるのを拝見して、先生の魅力は作品に留まらずお人柄にもあるのではと感じました。

木原先生には会期中、ギャラリートークやクロッキー・水彩画の実技、また美術クラブの生徒さん向けの講義など、たくさんのご協力をいただきました。生徒の皆さんが先生を取り囲み熱心にお話をする光景はとても素晴らしく、子どもたちの良い思い出になってくれればと思いました。

木原和敏展が、新たな出会いと新たな発見の場になったのであれば幸いです。

「余韻」2023年


2023年10月18日水曜日

【館長ブログ】アートの卵2023 子どもたちの成長を感じました

 流山市内中学校10校の美術部合同展「アートの卵2023」が、8月4日~27日に開催されました。美術部の生徒さんと卒業生、先生の作品、総数92点の作品が展示されました。

前回は、風景画や静物など写実的な作品が多く見られましたが、今回は生徒の皆さんの想像の世界や心の中を表現した作品など考えさせられる作品が多く、どんな思いを持って描いたのか聞きたくなるような印象を持ちました。油彩作品の中には絵の具をしっかり塗り込み、複雑な色を表現するなど驚くほどの感性を感じました。

二回目の展覧会でしたが、生徒さんのひたむきな努力と豊かな表現を、ご来館されたお客様や保護者の方も感じられたのではないかと思います。

この展覧会で嬉しいことは、前回出品した生徒さんに再会したときです。身体的成長だけでなく作品も成長していることです。

アートの卵展がこれからを生きる生徒の皆さんの力になればと思います。次回、どんな作品と出会うのか楽しみになりました。



アートの卵2023


個性的な作品の数々

2023年9月22日金曜日

【館長ブログ】中嶌虎威展 色彩の美しさに驚き

 今年の夏は例年にも増して猛暑が続き、芝生の緑も色あせる状況でした。6月7月の展覧会は、中嶌虎威先生の傘寿(80歳)を記念しての展覧会でした。中嶌先生の作品は岩絵具の豊かな色彩と線描により表現された作品で、来館した方々が「色彩の豊かさと艶やかさに感動しました」「構図も現代的な感じがします」という声を聞くことができました。日本画のもつ豊かな表現をまた一つお伝えする展覧会であったのではないかと感じました。

当館開設当初は洋画を中心に展示や展覧会を考えていましたが、作家が情熱をもって制作した作品であれば積極的に展示をしていきたいと考えています。中嶌虎威展はそのことを再認識する展覧会でした。

先生のこれからのご活躍をお祈り申し上げます。






2023年5月28日日曜日

【館長ブログ】櫻田精一展 多くの出会いがありました

 1月11日から始まった「櫻田精一展 気韻生動~刻の流れをみつめて~」が5月28日に終了しました。5か月という期間の展覧会は当館始まって以来の長期にわたる展覧会でしたが、多くの櫻田ファンのご来館がありました。


作品が好きだったり、先生と関わりがあったりと、来館される理由は様々でしたが、何よりも驚かされたことは当館が発信する展示動画をご覧になった方が多く訪れたことです。遠くは福井県や、京都府から、どうしても直接作品を見たいとご来館されました。


元は、コロナウイルス感染症の流行で展覧会に来られない方のために始めた動画の発信でしたが、遠方の方々に作品の魅力を伝え、ご来館のきっかけとなることが今回わかりました。


当館は小さな美術館ですが、これからも全国の美術ファンの目に留まるよう、たくさんの作家や作品を紹介できる展覧会を開催していきたいと思います。


『冬の修道院』1978 櫻田精一

2023年2月12日日曜日

【館長ブログ】畠山孝一作品 先端技術館に常設展示

 陸前高田市の元漁師であった畠山孝一さんは35歳のころ大けがをし漁師として働くことが出来なくなり、三陸の岸壁の厳しさ荒々しさを描き上げ、絵画団体の新制作展に発表し会員として活躍しました。

時事通信社の記者 荒木健次氏に畠山先生の作品を紹介され、即座に当館で展覧会を開催したい旨を打診をしたところ畠山先生の快諾を得て、2018年「畠山孝一展 生命の宿るがごとく」を開催する運びとなりました。美術館スタッフも畠山先生の自宅を訪問、打合せなどで何度もお伺いしました。萬鉄五郎美術館からも先生の代表作「三陸愁想」500号をお借りすることができました。展覧会では、あまりにも大作で多くの方の驚きの声があがり、三陸の厳しさが伝わる岩肌、絵具の奥に潜む岩肌を描いた作品は、画家を生業としている方々にとっても多くの感動や学びがあると伺いました。

日経新聞の文化面に大きく取り上げられ、全国的にもその存在を知っていただける機会となりました。

そして今回、東京都港区北青山にあるTEPIA(先端技術館)に2点常設展示されることになりました。都心の公共的なビルに展示されたことは、この上なく嬉しいことで、この機会に多くの方の目に触れ、あらためて畠山孝一先生の画の素晴らしさと、画家 畠山孝一を知っていただけたらと思います。

近くにお寄りの際は、ぜひご覧いただきたいと思います。

三陸の譜(時雨)
1996年 油彩 カンヴァス
198×322.6

わが譜
2003年 油彩 カンヴァス
183×262