2025年4月16日水曜日

【館長ブログ】原 太一展 ギアス氏とジョンに魅了された展覧会

 原 太一展 A Scrapbook of Journeys~ギアス氏と相棒の旅~を2025年1月10日から3月30日まで開催しました。原先生の作品は、擬人化されたうさぎのギアス氏と相棒のジョンが、あるときは世界の街角に、またあるときは空想の世界や名画の中に登場し、時空の中を自由に旅する作品です。

『新たな出発』2020年

多くのお客様がギアス氏とジョンを探しながらご鑑賞されました。「楽しい作品ですね。」とか、初めて作品にふれた方からも「すっかりファンになりました。」といった感想をいただきました。絵画は私たちの感情に訴えかける力があると常々思っていましたが、あるお客様から「作品を観て、本当に心が温かくなりました。」と言われたときは、改めて作品の持つ素晴らしさや魅力を教えられた想いで、大変感動しました。

今回の展覧会は、今までにない多くの来館者数を記録し、遠くは四国や広島から熱心なファンの方が、また先生の地元松戸から絵画教室の生徒さんたちが、老若男女問わずいらっしゃったことも印象的です。


千葉テレビの「newsチバ」という番組で、原展の特集が放送されました。原先生が出演され、自ら作品の説明をされました。多くの方にご視聴いただき、テレビを見た方がご来館くださいました。


ギャラリートークでは、100人を超えるお客様が集まり、立ち見の方もいらっしゃいました。お父様で画家の原大介先生にもご挨拶をいただきました。原先生は資料を使いながら、画家としての考えを丁寧にお話され、皆さん満足して帰られました。


今回も近隣の中学校の1年生6クラスの鑑賞授業を,アートコミュニケータのご協力のもと実施することができました。原作品の表現に、生徒の皆さんの想像もふくらみ、作品からストーリーを作りだしていました。また美術クラブの皆さんの鑑賞日は、原先生のご来館日と重なり、直接お話を聞く機会となりました。先生にフレンドリーに接していただき、思い出深い時間になったのではないかと思います。他にも小学校の支援学級の子どもたちにもご鑑賞いただきました。



最後に白日会展にて、原先生の作品『アート・セッション』が文部科学大臣賞を受賞するという嬉しいニュースが飛び込みました。会期中の受賞は、先生が大きく羽ばたいていく瞬間を目の当たりにしているようで、大変嬉しく思いました。

『アート・セッション』2025年

これからもギアス氏とジョン、そして原先生の旅をずっと応援していきたいと思います。ありがとうございました。

2025年3月20日木曜日

【館長ブログ】平澤篤 回顧展 子どもたちの心に残ってほしい展覧会

 『平澤篤 回顧展 Time piles up in the soul~時は魂の中に積もる~』は、2024年10月~12月に開催しました。平澤篤先生の作品は、白日会展で拝見していました。写実的表現の中に、重厚で幻想的な雰囲気をもつ、心惹かれる作品です。

『眠りの森』

ある日、GALLERY NAOさんを訪ねたとき、平澤先生の白日会展の作品が展示されていました。オーナーのお話の中で、「今回は平澤先生の追悼展です。」と伺い、先生がお亡くなりになったことを初めて知り驚きました。後日、オーナーが当館にご来館されたとき、美術館開設以来、いつか平澤篤展を開催したいと思っていたというお話をさせていただきましたところ、早々に奥様に連絡を取っていただき、展覧会開催の運びとなりました。あの時、画廊を訪れていなかったら開催は難しかったと思うと、不思議なご縁を感じました。

平澤展では、隣接する小学校2年生以上の400名を超える子どもたちに鑑賞授業を実施することができました。会期中、千葉県教育研究会造形部会の発表会があり、5年生の授業が公開され、県内60名余の先生が視察されました。アートコミュニケータの皆さんのご協力により、絵画を鑑賞する素晴らしさを子どもたちに伝えることができたのではないかと思います。

鑑賞授業

平澤先生の奥様で、ソプラノ歌手の新藤昌子様には、様々なイベントにご協力いただきました。当館8周年記念 森のコンサート、クリスマスミニコンサート、小学校での歌唱指導をしていただきました。声量豊かな歌声とピアノやチェロ、トランペットの音色が平澤先生の作品とともに館内を包み込み、大変素晴らしい時間となりました。小学校では各国の国歌を披露され、子どもたちの心に深く残るひとときとなりました。

新藤昌子さん

展示した作品は、初期のモノクロ作品、舞踏会を思わせる絢爛豪華な作品、白日会出品作など平澤先生の画家人生をたどる展示をすることができました。平澤先生をよくご存じの方も初期の作品は初めて見たとおっしゃる方もあり、画家 平澤篤をより深く知る機会になったのではないかと思います。これからも長く残ってほしい作品です。

『夜と霧』
『Lunacy Night』

『Alla Veneziana』